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ポーランド語の早口言葉「W Szczebrzeszynie chrząszcz brzmi w trzcinie」

ポーランド語は「シュー、チュー」という子音の摩擦音が非常に多く、1語だけで早口言葉のような単語がたくさんある。

そんな単語をいくつも並べた早口言葉は、難攻不落のアルファベットの要塞。

例えば、こんなやつ。

W Szczebrzeszynie chrząszcz brzmi w trzcinie

フ・シュチェブジェシンニェ・フションシチュ・ブジミ・フ・トシチーニェ

意味: シュチェブジェシン(地名)の葦の中でコガネムシが鳴く。

 

ポーランド人でさえ噛んでしまいそうな早口言葉。

なお、文頭にいきなり「W」がドーンとあるのは何ぞや、と思う人もいるかもしれない。

何かのイニシャルでもないし、うちの猫が勝手にキーボードを踏んで付け足した訳でもない。

単独で使われる「w」は、「in」や「at」に相当する前置詞。

この早口言葉の後半に出てくるもう一つの「w」も前置詞であって、別に早口言葉が難し過ぎて途中で笑っている(w)訳ではない。

 

この「w」だが、基本的な発音は「v」の音。

ポーランド語では「v」の文字はないのでヴ系の音は「w」を使う。

だが、「w」の直後に無声音が来ると、それに引っ張られて「フ」の音になる。

ここでは、「フ」の音。

 

前回、ポーランド語の発音難関単語をいくつか見たが、今日もいくつか、舌と唇の練習問題。

Bezwzględny

 ベズヴズグレンドゥニィ

意味: 非情な、容赦ない、無条件の

 

うん、意味を言われなくても「ベズヴズグレンドゥニィ」って聴いただけで「無条件に容赦なく非情」って分かる単語だ。

 

次に「シュー、チュー」の摩擦音お化け系を。

これは先ほどの早口言葉の中に出てきた単語。

Chrząszcz

 フシュォンシュチュ

意味: コガネムシ(または甲虫)

ポーランドの有名な早口言葉の主役だが、うかつに授業で使ってしまうと、ポーランド語初心者に恨まれそうなスペルと発音だ。

最初から最後まで、静電気のノイズのような音(ch, rz, sz, cz)だけで構成されている。 

 

Świerszcz

シフィエルシュチュ

意味: コオロギ

虫の名前はなぜか難しいものが多く、これも息をたくさん吐きながら「シフィエル」と言った直後に、また強い摩擦音「シュチュ」が襲ってくる。

 

ちなみに「キリギリス」は、主に Pasikonik(パシコニク) と言う。

この単語は発音難関というではないが、語の成り立ちが面白くて、語源がかわいい。

Pasikonik” という言葉は、2つの単語が合体してできている。

pasić(パシチ)「放牧する、草を食べさせる

konik(コニク)「小さなお馬さん

つまり、直訳すると「草を食む小さなお馬さん」という意味。

昆虫の顔とか跳ねる姿を馬のように例えた、とても愛らしい表現。

なお、キリギリスは、Konik polnyとも表される。

キリギリスやバッタ類の仲間を、そのまま Konik polnyコニク・ポルニィ) と呼ぶことも一般的。

polnyポルニィ)=「野原の

直訳: 「野原の小さなお馬さん

こちらもやはり「馬」に例えられている。

いずれにせよ、かわいい呼び方だ。

ポーランドの有名なコメディ映画に、ドイツ軍の捕虜になったポーランド兵が、敵を混乱させるために名乗った伝説の偽名がある。

その名も、

Grzegorz Brzęczyszczykiewicz

グジェゴシュ・ブジェンチシュチキェヴィチ

 

どうですか、この名前。

こんな偽名を使って日本に来ても、病院などに行ったら恨まれそう。

「グジェゴシュ・ブジェンチシュチキェヴィチさん」と一発で呼べる特異体質の看護師さんもいるとは思えず、おそらく、

「ぐじぇごしゅ、ぶ、ぶじぇ、ぶじぇんちすちき、ちき、ち、ちきぇ、びっち…さん、3番までどうぞ」と、敬称の「さん」にたどり着くまでに、周りの患者さん達は思考停止して目が点になり、当の看護師さんは罰ゲームをやらされている気分になること必至だろう。

 もとのコメディ映画では、ドイツ軍の記者がタイプライターでグジェゴシュ・ブジェンチシュチキェヴィチの名前を記録しようとするが、発音があまりにも「シュ、チュ」ばかりでスペルが分からず、発狂してしまう。

 

特殊なポーランド語ばかり出してしまったので、オーソドックスな基本フレーズも学んでみる。

最初に難関単語ばかり見たので、ずいぶん簡単に感じるのではないだろうか。

Dzień dobry(ジェン・ドブリィ):こんにちは / おはよう

※ポーランド語には「おはよう」と「こんにちは」の区別がなく、朝から日中まで同じ言葉を使う。

Dobry wieczór(ドブリィ・ヴィエチュル):こんばんは

Dobranoc(ドブラノツ):おやすみなさい

Cześć(チェシチ):やぁ! / バイバイ(親しい間柄のカジュアルな挨拶)

Do widzenia(ド・ヴィゼニャ):さようなら(丁寧な表現)

Na razie(ナ・ラジェ):またね

Dziękuję(ジェンクイェン):ありがとう

Dziękuję bardzo(ジェンクイェン・バルゾ):どうもありがとう

Proszę(プロシェ):どういたしまして / どうぞ

Przepraszam(プシェプラシャム):すみません / ごめんなさい

Tak(タク):はい

Nie(ニェ):いいえ

 

ロシア語をやっている人も、ポーランド語は似ていると感じるのではないだろうか。

 

最後にポーランドが誇るSFの巨匠スタニスワフ・レムの言葉を。

"Gdyby ludzie od jaskiniowej epoki robili tylko to, co wyglądało na możliwe, do dzisiaj siedzieliby w jaskiniach."

「もし可能だと思えることだけをやっていたら、今でも洞窟の中に座っていただろう」